不倫・不貞の答弁書の書き方3

争い方の分類

1 不倫はない
2 関係はある
2-1 独身だと思った
2-2 夫婦関係は破たんしている
3 支払う金額を争う
4 支払義務はなくなった
4-1 時効
4-2 不貞配偶者の支払い

今回は2-2の夫婦関係が破綻している場合の答弁書を示す

分類2-2、夫婦関係が破綻している場合の答弁書の書き方

不貞の時に婚姻関係が破綻していれば、不法行為は否定されるが、どういうときに破綻と言えるのかについては次回投稿する不貞慰謝料請求における破綻の認定についての諸見解および不貞慰謝料請求における破綻の認定についての諸裁判例を参照。

平成 年( )第 号
( ↑(家へ)とか(ワ))
原 告  ○○○○
被 告  ××××
答  弁  書
横浜地方裁判所 部 係 御中
平成  年  月  日
横浜市栄区大丸山1-2-3
電 話 045-111-1111
fax 045-111-1112
(送達場所は上記場所で結構です)
被 告    × × × ×  ㊞
第1 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告との負担とする。
(↑ ほとんど決まり文句)
第2 請求の原因に対する認否
(↓ 以下、訴状の内容によりアレンジする)
1 当事者の関係(請求原因1)

   原告と訴外△△△△との婚姻関係は認める。
( ↑「訴外△△△△」は不倫相手とされる異性 )
(戸籍が提出されているはずなので、認めてよい。)
その他の部分は知らない。

2 不貞行為の主張(請求原因2)について

  男女の関係を持ったことは認める。但し、交際開始時期と不貞と主張される関係の回数については、・・・。「被告は訴外△△△△が原告と婚姻していることを知りながら」という部分は否認する。

第3 被告の主張
1 被告と訴外△△△△との交際の経緯

   原告と訴外△△△△は、婚姻後ほとんど喧嘩をすることはなかったが、平成・・年ころから不仲となり、そのころ原告が離婚届出用紙に署名捺印したことがあった。訴外△△△△は、その当時、子供が高校生であったことや原告と訴外△△△△の双方の両親の意見を考慮して、子供の大学卒業まで離婚届出は見合わせることとした。
   それ以来、原告と訴外△△△△は、ほとんど会話をすることも、ともに外出することも、なくなり、炊事や洗濯の分担もなくなった。寝室を別にし、住居ではなるべく顔を合せないように互いに努力している。平成・・年に訴外△△△△は交通事故で1週間・・病院に入院したが、原告は一度も面会に来ることがなかった。
   その後、子供が就職したことから、訴外△△△△は離婚調停を申し立てたが、財産分与と慰謝料について合意に至らず、当分の間、原告家を出て別居するという内容のみ取り決めて調停は終了した。しかし、調停成立後に子供が婚約をすることとなり、子供の結婚式までは別居も見合わせることとした。
   訴外△△△△と被告が交際を開始したのは調停終了直後の平成・・年・・月である。
   原告は訴外△△△△と被告との関係を知るや、離婚届出の不受理届出の手続きを行い、結婚式終了後も別居をしようとせず、また、不貞の慰謝料を主張するようになった。

2 まとめ

   1記載のとおり、訴外△△△△と被告が交際を開始した時、原告と訴外△△△△との夫婦関係は既に破綻しており、原告が侵害されたと主張する権利、利益ないし地位はもともと実質的には失われていた。したがって被告に賠償義務はない。

不倫・不貞,答弁書の書き方

不倫・不貞の争い方分類

 1 不倫はない
 2 関係はある
   2-1 独身だと思った
   2-2 夫婦関係は破たんしている
 3 支払う金額を争う
 4 支払義務はなくなった
   4-1 時効
   4-2 不貞配偶者の支払い

分類2-1、相手が結婚していない独身だと思っていた時の答弁書の書き方

不倫責任に関する過失

過失の評価根拠事実については、例としてAが既婚者であることを疑わせる具体的事実があげられ、そのような事実がない場合に、YがAの婚姻の有無を調査すべき義務はないと解される。なお、肉体関係を持った当時、Aが既に離婚していると誤信した場合や、婚姻関係が破綻していると誤信した場合は、その誤信に過失がある限り、過失による不法行為となる。
古市文孝
家事事件重要判決50選、2013.7立花書房143頁

平成  年(  )第  号
    ( ↑(家へ)とか(ワ))
原 告  ○○○○
被 告  ××××
      答  弁  書
横浜地方裁判所 部 係 御中
  平成  年  月  日
  横浜市栄区大丸山1-2-3
  電 話 045-111-1111
  fax 045-111-1112
  (送達場所は上記場所で結構です)
  被 告    × × × ×  ㊞
第1 請求の趣旨に対する答弁
 1 原告の請求を棄却する。
 2 訴訟費用は原告との負担とする。
 (↑ ほとんど決まり文句)  
 
第2 請求の原因に対する認否
  (↓ 以下、訴状の内容によりアレンジする)
 1 当事者の関係(請求原因1)
   原告と訴外△△△△との関係は認める。
     ( ↑「訴外△△△△」は不倫相手とされる異性 )   
     (戸籍が提出されているはずなので、認めてよい。)
   その他の部分は知らない。
 2 不貞行為の主張(請求原因2)について        
男女の関係を持ったことは認める。但し、交際開始時期と不貞と主張される関係の回数については、以下に記載の通りである。すなわち、・・・。
 「被告は訴外△△△△が原告と婚姻していることを知りながら」という部分は否認する。
第3 被告の主張
 1 被告と訴外△△△△との交際の経緯
被告は訴外△△△△と仮想空間ネットゲームで知り合い、同じギルド内の仲間どおしであった。
 仮想空間の仲間では、訴外△△△△は「バツイチ」と言われていた。
 被告と訴外△△△△とは○○年××月、オフ会で初めて顔を合わせて付き合うようになった。訴外△△△△が結婚指輪をしているところを見たことはない。仮想空間仲間間では私生活についてしつこく聞くと嫌われるため、あまり私生活の話はしない傾向がある。そのような傾向がなかったとしても、独身であると説明する訴外△△△△に対して、婚姻関係の有無についてしつこく聞くわけにもいかず、今回の訴訟が提起されるまで、訴外△△△△の独身である旨の説明を信じていた。被告としては、交際がうまく続きお互いのことについて理解が進めば結婚も視野に入れていたのであり、訴外△△△△が婚姻していたことは被告にとって晴天の霹靂であった。
 2 まとめ          
1記載のとおり、訴外△△△△との交際により配偶者の地位を侵害したことについて、被告に故意・過失はなく、したがって被告に賠

不倫・不貞の答弁書の書き方

不倫・不貞事件の分類

争い方によって,答弁書の書き方は異なる

分類してみた。
 1 不倫はない
 2 男女関係はある
   2-1 独身だと思った
   2-2 夫婦関係は破たんしている
 3 不倫はあるが,支払う慰謝料の金額を争う
 4 不倫はあるが,その後支払義務はなくなった
   4-1 時効
   4-2 不貞配偶者の支払い

分類1 不倫はないと主張する場合の答弁書の書き方

不倫つまり男女関係を否認する場合である。ただ否定するだけではだめ。

記載例

平成  年(  )第  号
     ( ↑(家へ)とか(ワ))
原 告  ○○○○
(不倫相手とされる異性の配偶者)
被 告  ××××(自分)
     答  弁  書
横浜地方裁判所 部 係 御中
  平成  年  月  日
  横浜市栄区大丸山1-2-3
  電 話 045-111-1111
  fax 045-111-1112
  (送達場所は上記場所で結構です)
  被 告 × × × ×  ㊞
第1 請求の趣旨に対する答弁
 1 原告の請求を棄却する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。
 (↑ ほとんど決まり文句)
第2 請求の原因に対する認否
  (↓ 以下、訴状の内容によりアレンジする)
 1 当事者の関係(請求原因1)
   原告と訴外△△△△との関係は認める。
    ( ↑「訴外△△△△」は不倫相手とされる異性 )
    (戸籍が提出されているはずなので、認めてよい。)
   その他の部分は知らない。
 2 不貞行為の主張(請求原因2)について
不貞行為関係を持ったことは否認する。
 被告は訴外△△△△が原告と婚姻していることを知っていたことは認める。
第3 被告の主張
 1 被告と訴外△△△△との関係
訴外△△△△と被告はともに株式会社◇◇◇◇の社員であり、職場も共通である。
 もともと訴外△△△△と被告は、会社帰りに、他の社員とともに飲みに行くことのある関係であった。昨年、取引先会社のクレームに対する不満で意気投合し、被告は訴外△△△△と二人で飲みに行くようになった。
 原告提出の調査書では、訴外△△△△と被告がカラオケボックスを二人で利用したことが報告されている。しかし、カラオケボックスを利用したのは、クレームで溜まったストレスを大声を出すことによって発散することができるから利用したに過ぎない。
 また、原告提出の調査書では、深夜に訴外△△△△と被告が停車している自動車内に二人でいるところが報告され、その後、調査会社が車を見失ったこと、訴外△△△△が朝帰りしたことが報告されている。その日、確かに被告は訴外△△△△の車に同乗したが、その後飲みに行くことになり居酒屋に二人で行った。日付が変わるころ、居酒屋から被告はタクシーで帰宅した。訴外△△△△は、少し飲酒をしてしまったためすぐには車を運転できず帰宅が遅れたのである。
 また、原告提出の証拠では、恋愛関係を前提としているようなLINE会話が提出されているが、被告と訴外△△△△が飲みに行った帰りに、酔ったうえでふざけて会話したものである。他のLINE会話部分はすべて恋愛とはかけ離れた内容になっているはずである。
 2 まとめ
1記載のとおり、訴外△△△△と不貞関係はなく、したがって被告に賠償義務はない。

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