婚姻費用未払いを財産分与で考慮

財産分与の問題点3 婚姻費用未払いの清算

問)過去の婚姻費用の未払いがあったとき、考慮されないのか。
答)考慮されることがある。

 婚姻費用の未払いがあり、離婚訴訟で財産分与とともに清算したい場合、必ず未払い分を考慮してくれるわけではないし、考慮されたとしても未払全額分を考慮されるわけでもない。また別居時期の未払分は考慮されても円満に同居している時期の未払分は考慮されない(※1-336頁、※2-224頁、※4-28頁)。
 別居中の未払いのうち、監護費用(養育費)は考慮されるとして、その他の婚姻費用の未払いを確実に解決するには離婚訴訟とは別に婚姻費用分担の調停・審判を経ておくことが必要だということになる。
※1 松原正明 人事訴訟の実務 新日本法規(平成25年10月)
※2 新版注釈民法(22)(平成20年12月)
※4 東京家庭裁判所における人事訴訟の審理の実情第3版(平成24年9月)

財産分与の問題点2 オーバーローン 

財産分与の問題点 2

問)マンションなどのオーバーローンの場合、マイナスは考慮されないのか
答)考慮される。

マンションなどの資産価値(売却予測価額)が残ローン金額より少ない場合である。オーバーローン分を他のプラスの財産から控除すべきではないと主張されることがある。
 この場合に、財産分与をどのように計算するか、従来は文献を読んでもはっきりしなかったし、裁判例も特殊事案性が見られたりして、どのように計算するか、はっきりしなかった。
 最近、場合分けをして議論するものが出てきた(※1※2※3)。そこではオーバーローンの場合で、他に積極財産がある場合の考え方がはっきり記載されている。これらによると計算方法は以下のとおりとなる。
 住宅ローンなど個別財産取得のための債務は、当該住宅の価格から控除するだけでなく、積極財産の総額から控除する(※1-337頁、※2-220頁、※3-139頁、※4に添付されている書式CD-ROMの財産分与算定エクセルの数式もこの計算方法)。 例えば、マンションの時価800万円、残ローン1200万円、夫婦共同財産である預金500万円の場合、残ローンは総財産1200万円から差し引くから、分与対象金額を100万円と計算する。
 もっとも、ローンを他方の配偶者が連帯保証している場合などは、よく検討する必要がある。主債務者である配偶者の一方が払わないと予測される場合はこのような計算方法には問題があるとされているからである。
 なお、オーバーローンの不動産について財産分与の対象から外したため、その事後処理の必要が生じた事案として、東京地裁平成24年12月27日判決(判例時報2179号78頁、判例評論660号146頁)

※1 松原正明 人事訴訟の実務 新日本法規(平成25年10月)
※2 新版注釈民法(22)(平成20年12月)
※3 家事事件重要判決50選 (平成24年7月)
※4 東京家庭裁判所における人事訴訟の審理の実情第3版(平成24年9月) 

財産分与の問題点1 親からの住宅取得資金

財産分与の問題点1

問)親から住宅取得資金をもらった場合、その分は考慮されないのか。
答)考慮される。

通常は、親が、夫婦二人に贈与したのではなく、実子である夫婦の一方に贈与したと判定されるだろう、その場合、特有財産になる(※1-323頁)。なお、特有財産が変形(例、現金→車→現金)しても特有財産性は失わない。
 特有財産を頭金として住宅を購入した場合、これに対応する部分は、財産分与にあたって、考慮される(※1-341頁、※2-211頁)。
例えば、夫の特有財産で頭金500万円を出し、同居中ローンを夫婦の協力で返済し1000万円(夫婦ともに500万円ずつ払ったと考える)、別居後夫のみが500万円のローンを払った場合、妻の寄与度は
   500+1000+500=2000
   500÷2000=25%
25%となる(※1-342頁)。
※1 松原正明 人事訴訟の実務 新日本法規(平成25年10月)
※2 新版注釈民法(22)(平成20年12月)